「責任ある機関投資家」の諸原則
《日本版スチュワードシップ・コード》への対応について

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2017年10月

Ⅰ.「日本版スチュワードシップ・コード」に対する取組み

当社は、「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》を受け入れることを表明しております。スチュワードシップ・コードの原則1〜原則7に対して、以下のように取組んでおります。

原則1.機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

当社の取組み:コンプライ

スチュワードシップ責任を果たすための方針

当社は、将来の保険金・給付金等を確実にお支払いするため、安全性・収益性・流動性に加え、公共性を勘案した資産運用に努めております。

お客さまへのお支払いに備えるため、長期・安定的な資産運用を基本方針としており、株式投資にあたっては企業の収益性、安全性、成長性等を基準に投資判断を行い、投資先企業の企業価値向上を通じて中長期的に投資収益を獲得することを目指しております。

当社は、投資先企業の中長期的な成長、それがもたらす当社の投資収益の向上、ひいてはお客さまの利益に資することを目的に、スチュワードシップ・コードを受入れるとともに、投資先企業との対話活動や議決権行使等(以下、これらを総称して「スチュワードシップ活動」)への取組みを推進してまいります。

(1)スチュワードシップ責任の考え方
当社は、投資先企業の企業価値の向上やその持続的成長を促すことにより、お客さまの中長期的な利益の拡大を図る、という点に機関投資家としてのスチュワードシップ責任があると考えております。

(2)スチュワードシップ責任を果たす方法
当社は、議決権行使はスチュワードシップ責任を果たすための重要な役割を有していると認識しており、これに限らず、投資先企業の状況を適切に把握し、当該企業と建設的な「目的を持った対話」を行う等、幅広い活動によって、スチュワードシップ責任を果たしてまいります。

(3)スチュワードシップ活動に関する利益相反管理の方針の策定・公表
当社は、スチュワードシップ活動を行うにあたっては、お客さまの利益を第一として行動し、利益相反を適切に管理することを目的に、「スチュワードシップ活動に関する利益相反管理の方針」を定め、これを公表いたします。

(4)議決権行使と行使結果の公表の方針の策定・公表
当社は、投資先企業の企業価値向上や持続的成長を促すことにより、中長期的な投資収益の向上に資することを目的に、「議決権行使と行使結果の公表に関する方針」を定め、これを公表いたします。

(5)スチュワードシップ活動の取組み状況の報告
当社は、お客さまに対して、議決権行使結果だけでなく、投資先企業との対話活動も含めたスチュワードシップ活動全体を的確にご理解いただくことを目的に、「当社のスチュワードシップ活動について」を報告いたします。

自己評価

2017年5月29日に公表されたスチュワードシップ・コード(改訂版)の内容を踏まえ、「スチュワードシップ責任を果たすための方針」を見直し、適切に対応できていると評価しております。引続き、見直しが必要と判断した場合には、適宜、当該方針を見直してまいります。

原則2.機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

当社の取組み:コンプライ

当社では、「利益相反管理基本方針」を定め、保険業法および金融商品取引法等を踏まえ、お客さまとの取引に伴う利益相反により、お客さまの利益を不当に害することのないよう、法令および当社規程等を遵守し、適切に業務を管理・遂行しております。

利益相反管理基本方針

スチュワードシップ活動を行うにあたっては、お客さまの利益を第一として行動し、利益相反を適切に管理することを目的に以下の「スチュワードシップ活動に関する利益相反管理の方針」を定めております。

スチュワードシップ活動に関する利益相反管理の方針

(1)スチュワードシップ活動に重要な影響を及ぼす利益相反が生じ得る主な局面

1 保険契約等の取引が多い投資先企業への議決権行使にあたって、保険契約等への影響を考慮し、賛否判断が歪められる懸念がある事象
2 代理店として保険販売が多い投資先企業への議決権行使にあたって、保険販売への影響を考慮し、賛否判断が歪められる懸念がある事象
3 当社の株主である投資先企業への議決権行使にあたって、賛否判断が歪められる懸念がある事象
4 当社常勤の役員・従業員が取締役・監査役を兼務している投資先企業への議決権行使にあたって、賛否判断が歪められる懸念がある事象

(2)利益相反を回避し、お客さまの利益を確保するための措置

当社は、利益相反の防止に向け、スチュワードシップ活動上の対話活動や議決権行使の賛否判断に関するプロセスを運用部門内で完結する体制を構築しております。

議決権行使については、「国内株式議決権行使規程」に基づいて賛否判断を実施するとともに、@「国内株式議決権行使規程」の重要な改定およびA「国内株式議決権行使規程」に定めた基準に該当した議案、かつ、(1)スチュワードシップ活動に重要な影響を及ぼす利益相反が生じ得る主な局面に該当した議案(以下、「利益相反の観点からの重要議案」)の賛否案については、メンバーに利益相反管理統括者であるコンプライアンス統括部長を含む「スチュワードシップ活動推進会議」で事前に協議しております。

<スチュワードシップ活動推進会議の概要>

目的 お客さま利益の確保や利益相反防止およびスチュワードシップ活動全体の充実・促進等に関する事項の協議または報告
構成 運用統括部長(議長)、市場運用部長、特別勘定運用部長、コンプライアンス統括部長(利益相反管理統括者)
付議
事項

【協議事項】

  • ・議決権行使における重要議案の賛否案
  • ・国内株式議決権行使規程の重要な改定
  • ・「『日本版スチュワードシップ・コード』への対応について」(当該ホームページ内容)の更新案

【報告事項】

  • ・スチュワードシップ活動の取組み状況
開催 原則、年3回

また、スチュワードシップ活動の取組み状況等を経営会議や社外取締役・社外監査役が参加する取締役会に報告することで、経営陣と事実認識および課題認識を共有しております。

自己評価

スチュワードシップ・コード(改訂版)の内容を踏まえ、「スチュワードシップ活動に関する利益相反管理の方針」を見直すとともに、「スチュワードシップ活動推進会議」の結論として、利益相反を疑われる議決権行使は行われていないことを確認しており、適切に対応できていると評価しております。引続き、「スチュワードシップ活動推進会議」の運営や経営陣との事実認識・課題認識の共有等を通じて、適切な利益相反管理に努めてまいります。

原則3.機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

当社の取組み:コンプライ

当社は、スチュワードシップ活動を担当する部署に株式投資に関する十分な実務経験や専門知識を備えた人材を配置し、投資先企業との対話や情報収集等を通じ、投資先企業の業績等の財務情報だけでなく、事業戦略や中期経営計画に加え、環境・社会・ガバナンス(ESG)等の非財務情報についても適切に把握できるよう努めております。

また、継続的かつ実効的な投資先企業の状況把握を行うよう、必要に応じて「スチュワードシップ活動推進会議」でスチュワードシップ活動の取組み状況を報告するなど適切な確認に努めております。

自己評価

投資先企業の状況を適切に把握するため、各種の情報収集や説明会等への参加、対話を継続して行っており、投資先企業の持続的成長に向けたスチュワードシップ責任を適切に果たしていると評価しております。引続き、投資先企業の財務情報や非財務情報を適切に把握できるよう努めてまいります。

原則4.機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

当社の取組み:コンプライ

当社では、建設的な対話を通じて投資先企業の企業価値向上に貢献し、投資収益の拡大に繋げることを目指しております。

対話活動を実施する対象企業については、重要性の観点から選定しております。具体的には、当社の投資規模が大きい投資先企業や、企業価値向上の観点から課題を有し、改善状況のモニタリングが必要と判断した投資先企業等を対象企業に選定し、対話活動に取組んでおります※。

対話活動のアプローチとして、日常的な調査・分析活動、IR部署とのディスカッション、議決権行使等を通じ、主に以下のテーマに関する課題認識を共有するための建設的な対話を実施しております。

<投資先企業との対話に関する主なテーマ>

事業環境、経営・成長戦略(中期経営計画等)、財務戦略(手元資金の使途等)、収益性(決算内容、ROE等)、株主還元方針(望ましい還元手段や内部留保とのバランス等)、コーポレートガバナンス など

※特別勘定の株式投資は、投資助言に基づいており、投資先企業との対話についても投資助言者が実施しております。

なお、当社は、公表された情報をもとにスチュワードシップ活動を行っており、未公表の重要な事実を受領することを目的に対話活動等を行うことはありません。万が一、投資先企業から未公表の重要な事実を受領した場合には、法令等に従い、速やかに必要な措置を講じることとしております。

自己評価

対話活動を通じて、投資先企業との認識の共有を図り、問題点の改善に努めていると評価しております。引続き、投資先企業との継続的な対話活動を通じて、質・量の両面で取組み強化に努めてまいります。

原則5.機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

当社の取組み:一部エクスプレイン(指針5-3)

当社は、議決権行使にあたっては、投資先企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、中長期的な投資収益の向上に資することを目的に以下の「議決権行使と行使結果の公表に関する方針」を定めております。

議決権行使と行使結果の公表に関する方針

(1)議決権行使の考え方
当社は、議決権行使を適切に行うことは、投資先企業の企業価値の向上を通じてお客さまの利益に資するものと考えており、加えて、機関投資家としての社会的責任を果たす上でも重要であると考えております。

このような考え方の下、当社では、「国内株式議決権行使規程」を定め、全ての保有株式について社内の決裁手続きを経た上で、自らの判断で議決権を行使いたします。

個々の議案について、投資先企業の経営状況を中長期的な視点を踏まえて確認し、必要に応じて投資先企業との対話を行うなどにより、賛否を判断いたします。

(2)議決権行使に関する社内体制とプロセス
当社では、運用部門が「国内株式議決権行使規程」に基づき、株主総会の全議案について検討を行い、以下のような観点を中心に議決権行使の判断を行っております。

<国内株式議決権行使規程の基本的な考え方>

主な項目 基本的な考え方
剰余金処分
  • ・当該剰余金処分が、企業の成長段階や事業特性、資金需要等に応じた適切な株主還元であるか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
取締役選任(解任)
  • ・当該候補者が、経営等に関する豊富な経験や専門的な知見を活用し、適切な監督機能を発揮できるか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
  • ・また、社外取締役候補者については、外部の独立した立場で適切な監督機能を発揮できるか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
監査役選任(解任)
  • ・当該候補者が、経営等に関する豊富な経験や専門的な知見を活用し、適切な監査機能を発揮できるか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
  • ・また、社外監査役候補者については、外部の独立した立場で適切な監査機能を発揮できるか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
定款一部変更
  • ・当該定款変更が、中長期的な企業価値向上に資するか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
役員報酬改定
  • ・当該役員報酬の改定が、業績不振や不祥事(反社会的行為もしくは社会的信用失墜行為等)が生じている等、中長期的な企業価値の毀損が懸念される状況で行われていないか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
新株予約権発行
  • ・当該新株予約権の付与対象者が、インセンティブを付与する者として適切であるか、また、新株予約権の発行が、既存株主の株式価値を著しく希薄化させるものではないか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
会計監査人選任(解任)
  • ・当該会計監査人の選任(解任)が、中長期的な企業価値を毀損するものでないか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
組織再編関連※
  • ・当該組織再編関連が、中長期的な企業価値向上に資するか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
その他会社提案 (自己株式の取得)
当該自己株式の取得が、特定の者の利益にならないか(その他株主の株式価値を著しく毀損させるものではないか)、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。
(新株発行、増資、減資等)
当該資本政策が既存株主の株式価値を著しく希薄化させるものではないか、という視点等を勘案して賛否判断を実施いたします。

※合併、営業譲渡・株式移転、会社分割等

「国内株式議決権行使規程」の基準に基づくスクリーニングの結果、スクリーニングに該当しない議案については、原則、賛成いたします。

「国内株式議決権行使規程」に基づくスクリーニングの結果、スクリーニングに該当する議案については、必要に応じて投資先企業との対話により課題解決の取組み状況を確認するなど個別企業の状況を踏まえた上で賛否を判断いたします。

具体的には、投資先企業の課題解決に向けた取組みを評価できる場合には議案に賛成し、課題解決に向けた取組みを評価できない場合や改善が期待できないと判断した場合には議案に反対いたします。なお、議案に賛成した場合でも、改善状況のモニタリングが必要と判断した場合には、事後的に投資先企業と課題認識の共有化を実施いたします。

<議決権行使プロセス>

(3)議決権行使結果の公表に関する方針
当社では、投資先企業の中長期的な企業価値向上を企図してスチュワードシップ活動に取組んでおり、お客さまに当社の取組みを的確にご理解いただくためには、議決権行使だけでなく、投資先企業との対話活動も含めたスチュワードシップ活動の取組み全体を適切に公表することが重要だと考えております。

議決権行使結果については、議案の主な種類ごとに整理・集計して開示するとともに、投資先企業との課題認識の共有等の対話活動も含めたスチュワードシップ活動の取組み全体を丁寧に説明することで、可視性を高めております。

なお、議決権行使の結果を、個別の投資先企業及び議案ごとに公表(以下、「個別開示」)することは、可視性の向上や利益相反懸念の払拭の観点から一定の意義があると認識しておりますが、一方で、中長期的な投資収益の獲得を目指す当社としましては、投資先企業との対話活動の妨げとならないか、銘柄によっては個別の議決権行使が他の投資家の投資行動に影響を与えないか等、様々な影響により当社のお客さまの利益を損ねないか慎重に見極める必要があると考え、個別開示の実施を見送っております。

(4)貸株取引に関する方針
当社は、運用収益獲得を目的に貸株取引を行い、議決権行使に係る権利確定日をまたぐ取引がある場合には、必要に応じて貸株の返還を求める等、議決権行使の確保に努めております。

自己評価

スチュワードシップ・コード(改訂版)の内容を踏まえ、「議決権行使と行使結果の公表に関する方針」を見直し、議決権行使の考え方やプロセスおよび行使結果の公表について適切に対応できていると評価しております。引続き、「国内株式議決権行使規程」は、議決権行使プロセスの充実を図る観点から、必要に応じて適宜、見直すとともに、個別開示については、お客さまの利益を損ねる可能性等について慎重に見極めてまいります。

原則6.機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

当社の取組み:コンプライ

当社では、お客さまに当社のスチュワードシップ活動全体を的確にご理解いただく観点から、ホームページにて当社の基本的な考え方や方針、プロセスなどスチュワードシップ活動全体を開示しております。

また、投資先企業との対話や議決権行使における具体的な取組み状況についても更新し、報告に努めております。

自己評価

「『日本版スチュワードシップ・コード』への対応について」を更新し、適時・適切に報告を実施できているものと評価しております。引続き、お客さまに的確にご理解いただけるよう、スチュワードシップ活動全体の開示の充実に努めてまいります。

原則7.機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

当社の取組み:コンプライ

当社は、投資先企業の企業価値の向上やその持続的成長に資するための体制整備や人材育成等により、機関投資家としての実力の向上に努めております。
当社の経営陣も、スチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるために体制整備や人材育成が重要であると認識しており、こうした取組みを積極的に推進しております。

また当社は、自らのスチュワードシップ活動の実効性向上に向けて、毎年、取組み状況の自己評価を行い、その結果をホームページ上で公表いたします。

自己評価

スチュワードシップ・コード(改訂版)の内容を踏まえ、ガバナンスの強化や利益相反管理の強化、スチュワードシップ活動全体の開示の充実等に取組むとともに、自己評価の実施・公表と併せて適切に対応できていると評価しております。引続き、体制整備や人材育成に取組み、スチュワードシップ活動の実効性向上に努めてまいります。

U.当社のスチュワードシップ活動について

当社は、お客さまに対して、議決権行使結果に加え、投資先企業との対話活動も含めたスチュワードシップ活動全体を的確にご理解いただくことを目的に、以下のとおり当社のスチュワードシップ活動の取組み状況を報告いたします。

1.投資先企業との対話

当社では、投資先企業の企業価値向上に資するよう、投資先企業との定期的な面談や株主総会の議案に係る意見交換の機会を利用し、建設的な対話を行っております。具体的な対話活動の事例は以下のとおりです。

(事例@)
当該企業は、赤字決算が続いていたため、各事業の収益性の改善、事業ポートフォリオの見直し等が必要との課題認識を伝えた上、足下の収益動向、今後の見通し・対策等について対話を行いました。
不振が続いていた主力事業については、需要の底打ちと設備の償却に目途がついたこと、好調である他事業への人員配置転換により、固定費削減、収益改善の策が講じられていること、経営陣も強い意志をもって状況の改善に取り組んでいること等を確認しました。
取組みの方向性を共有化できたため、今後は対策の効果等を継続的に確認、議論をしていくことを要望としてお伝えいたしました。

(事例A)
当該企業は、現中期経営計画の中で主力事業を中心とした構造改革を掲げておりますが、外部要因により計画目標の未達が見込まれるため、今後の方向性を中心に対話を行いました。
対話を通じ、外部環境の影響を受けやすい主力事業の収益構造の改善が課題であるとの認識を共有した上で、収益改善策の方向性等を議論し、当社から具体策の提示を要請いたしました。
当該企業からは、次期中期経営計画策定の中で検討していくとの回答が得られたことから、当社としては、継続的な対話を通じて主力事業の収益改善状況をフォローしてまいります。

(事例B)
当該企業は、財務の健全性確保や設備投資を重視しており、株主還元については安定配当の方針を継続しておりました。そのため、次期中期経営計画での株主還元方針を中心に対話を行いました。対話を通じて、主力事業の需要は当初期待値には及ばないものの、足もとでは需要が増加していること、配当方針については引続き財務の健全性を重視しており、株主還元についても業績をみながら検討していく方針であることを確認いたしました。 当社としては、引続き主力事業の需要動向を確認しつつ、当該企業の株主還元方針についてフォローしてまいります。

(事例C)
当該企業は、事業環境の改善を受けて2016年度は大幅増益となり、足もとの業績も堅調であることから、2017年度の株主還元方針を中心に対話を行いました。
対話を通じて、現中期経営計画の下では、単年度の実績でキャッシュフローの用途を判断しないものの、想定以上にキャッシュフローが上振れた場合には、株主還元の拡大も視野に入ってくる可能性があることを確認いたしました。

2.議決権の行使結果

2016年度(2016年7月〜2017年6月)に株主総会が開催された国内上場企業のうち、当社の議決権行使は、対象企業は延べ752社、会社提案に1件以上反対した企業は21社となりました。また、会社提案延べ2,615議案(親議案数ベース)について議決権を行使し、会社提案に反対した議案は24件となりました。

<議決権行使の状況(企業数ベース)>

企業数(延べ)

賛成 反対 合計
合計 731 (97.2%) 21 (2.8%) 752

<議決権行使の状況(親議案数ベース)>

企業数(延べ)

議案項目 賛成 反対 合計
剰余金処分 536 (99.8%) 1 (0.2%) 537
取締役選任 777 (98.1%) 15 (1.9%) 792
監査役選任 498 (100.0%) 0 (0.0%) 498
定款一部変更 196 (99.5%) 1 (0.5%) 197
退職慰労金支給 49 (100.0%) 0 (0.0%) 49
役員報酬改定 219 (100.0%) 0 (0.0%) 219
新株予約権発行 134 (96.4%) 5 (3.6%) 139
会計監査人選任 8 (100.0%) 0 (0.0%) 8
組織再編関連 ※1 15 (100.0%) 0 (0.0%) 15
その他会社提案 ※2 159 (98.8%) 2 (1.2%) 161
(うち買収防衛策) 38 (100.0%) 0 (0.0%) 38
合計 2,591 (99.1%) 24 (0.9%) 2,615

※1:合併、営業譲渡・株式移転、会社分割等
※2:自己株式取得、法定準備金減少、第三者割当増資、資本減少等

当社では、中長期的な視点からコーポレートガバナンスに課題のある議案や企業価値の毀損に繋がるおそれのある議案について、個別企業の状況を把握することに注力いたしました。このような取組みを経て、議決権行使判断に至った主な事例は以下のとおりです。

(事例@)
当該企業は、特定の社外取締役候補の取締役会への出席率が低いため、当該社外取締役候補の活動実態を把握すべく対話を行いました。
取締役会への出席回数は低いものの、定期的な業況報告、電話会議等により、適切な監督機能を果たすための環境は整備していること、当人からの日常的な経営方針についての意見具申は活発であること、等を確認しました。当社では、こうした活動実態を踏まえ、社外取締役として一定の責務を果たしていると判断したことから、取締役選任議案に賛成いたしました。
一方で、当社としては社外取締役の取締役会への出席率が低いことはコーポレートガバナンス上課題であり、出席率の改善が望ましいとの認識であること、次年度以降も状況が改善しない場合は、当該議案への反対もあり得ること、社外取締役の活動実態の更なる情報開示を要望すること、等をお伝えしました。

(事例A)
当該企業は、2年連続で社外取締役が不在であるため、コーポレートガバナンスに対する考え方を中心に対話を行いました。
対話を通じて、社外取締役の重要性を認識しており、候補は挙がるものの就任までには至っていないこと等、確認いたしました。
当社では、当該企業のコーポレートガバナンスに対する一定の取組み、考え方を確認できたことから、取締役選任議案に賛成しました。一方で、当社としては社外取締役時不在の状態は依然コーポレートガバナンス上課題が残ると認識しており、次年度以降に社外取締役が選任されない場合は反対することもあり得る旨をお伝えしました。

(事例B)
当該企業は、2年連続で社外取締役が不在であるため、コーポレートガバナンスに対する考え方を中心に対話を行いました。
対話を通じて、社外取締役の有用性については否定していないものの、親会社からの社外監査役に加えた現行のガバナンス体制でも十分機能しているとの考え方であることを確認いたしました。
当社では、社外取締役に対する人選が一向に進まない点や、社外取締役の重要性に対する認識が希薄である点などから、今後も改善が期待できないと判断し、取締役選任議案のうち代表取締役選任議案に反対いたしました。

(事例C)
当該企業は、会計処理について、税務当局から指摘を受けたことを公表していたため、再発防止の取組み状況を中心に対話を行いました。
対話を通じて、指摘された処理に関する会計処理規程を見直したこと、全社員を対象に再教育を実施するなど再発防止に取組んでいることを確認いたしました。
当社では、当該企業の再発防止に対する真摯な姿勢が窺えることから、取締役選任議案に賛成いたしました。