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知れば納得!医療情報

PET検査

監修:順天堂大学医学部付属順天堂医院 小児外科 助教授
小林 弘幸

厚生労働省の統計によると、悪性新生物(がん)は昭和56年以降死亡原因の1位となっています。しかし最近、多くのがんは早期発見・早期治療により克服が可能となってきています。自覚症状のない早期の段階でがんを見つけることに各種検診・人間ドックが行われていますが、その中の新しい検査方法であるPET検査について、今回は述べてみたいと思います。

PET検査(陽電子放射断層装置)とは

がん細胞は、正常細胞よりも多くのブドウ糖を消費すると言われています。その性質を利用して、ブドウ糖に類似したFDG(フルオロデオキシグルコース)という薬剤を注射して、FDGが集積した細胞を画像化することにより、がんを発見する検査です。CTやMRは、臓器の形状の変化からがんを診断するのに対し、PETは細胞の活動度の違いを利用して病巣を見つけます。

検査の実際

検査当日は、朝から絶食する必要があります。(医療機関によっては、検査開始時間の6時間前から絶食。)水や糖分の入っていないお茶は飲んでも良いのですが、飴やガムを含め食べ物は禁止です。と言うのは、細胞がエネルギー源であるブドウ糖を取り込む性質を利用しているからです。検査は、まず、検査薬のFDGを腕の静脈に注射します。注射後は、1時間ほど安静にして、検査薬が全身に行き渡るのを待ちます。注射後に動き回ってしまうと筋肉がエネルギーを必要とするため、正常な細胞もFDGをたくさん取り込んでしまい、正確な診断ができなくなってしまうからです。検査の直前には膀胱内にある検査薬の代謝物を排泄させるため、排尿を済ませてから撮影を行います。PET装置の寝台に横たわり、30分程度の撮影で検査は終了します。検査薬を注射する以外は身体的苦痛や負担が少なく、短時間で一度に全身を検査できます。

PET検査 Q&A

Q1.PET検査で何がわかるのですか?
A1.がんがどこにあるか(存在の有無)や、その大きさ(病巣の大きさ)がわかります。従来の検診方法で検出できるがんは、1cm以上と言われていますが、PET検査の場合、条件さえそろえば5mm程度のがんを発見できることもあり、早期診断に役立ちます。また、がん以外にも、アルツハイマー型認知症、脳血管障害、てんかん、虚血性心疾患などの診断に利用されます。
Q2.PET検査で、すべてのがんがわかるのですか?
A2.多くのがんに有効性の認められている検査ですが、万能ではありません。発見しやすいがんは肺がんや大腸がん・食道がん・膵がんなどの消化器系のがん、子宮がん・卵巣がんなどの婦人科系のがんや甲状腺がん、乳がん、悪性リンパ腫、骨腫瘍、悪性黒色腫などです。しかし、がんにも様々なタイプがあり、高分化型腺がんなどは、FDGが集積しにくいため、PETは不得意としています。また、検査薬であるFDGは尿となって体外に排出されるため、泌尿器系(腎臓・膀胱など)は正常でも反応が出てしまい、紛らわしいことがあります。
Q3.PET検査を受ければ、他のがん検診を受けなくても大丈夫ですか?
A3.PETは脳や心臓、胃、腎臓、膀胱がんや、原発性の肝がんなどを不得意としています。 また、臓器や患部の正確な位置を特定するのが難しいという欠点もあり、これらをカバーするため、CTやMR、超音波などの画像検査他、血液検査などと組み合わせてお受けいただくことをお勧めいたします。最近では、PETとCTが同時に撮影できる、より精度の高い検査機器(PET/CT)もあります。この機器はPETとCTの画像を重ね合わせるフュージョン(融合)技術が内蔵されており、より信頼性の高い検査ができます。
Q4.検査時間はどのくらいかかりますか?
A4.検査薬を注射してから1時間ほど安静にして頂き、その後PETスキャナというカメラで30分ほどかけて撮影します。事前の問診を含め2〜3時間程度で終了します。
Q5.検査は保険がききますか?
A5.がん検診目的の検査は保険適応になりません。既に別の検査でがんの疑いがあったり、がんの治療中の場合等は、一定の要件を満たしていれば保険が適応されます。
Q6.検査費用はどのくらいかかりますか?
A6.スタンダードなタイプ(PET検査、血液検査)でおよそ10万円ほどです。
Q7.被曝や副作用の心配はありませんか?
A7.わずかではありますが、放射線被曝があります。1回の検査で受ける被曝量(2.2mSv)は、人が自然界(大地の岩や土、空、食物等)から受ける被曝量(2.4mSv)とほぼ同じ量です。PETで使う薬剤は超短半減期(放射能の寿命が短く2時間で半分になる)で、使用量もわずかなため、人体に及ぼす影響はほとんど皆無と言われています。

終わりに

がんは壮年期以降、徐々に増加する傾向にあります。健やかな暮らしは誰もが願うことですが、元気で自覚症状がないからと安心できるものではありません。疾病の早期発見のため、個々の目的にあった定期的な検診を受けることをお勧めいたします。その一情報として、今回の内容を役立てて頂けたら幸いです。

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<出典場所>
厚生労働省  統計に関する情報ページ
国立がんセンター  ポジトロンCT(PET)検査に関するページ

<参考文献>
PET検査Q&A  日本核医学協会、社団法人日本アイソトープ協会
PET検診を受けるときに読む本   秀潤社

原稿・社会保険研究所©
※2006年作成
※内容は執筆当時のものであり、現在も同様のものであるとは限りません。

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