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知れば納得!医療情報

胃内視鏡

監修:東京医科歯科大学 内科
林 栄治

日本のがん患者数は、依然として胃がんが最多ですが、発見される胃がんの半数以上は早期がんで、その90%以上が完治するため、死亡率は低下しています。これには診断・治療技術の向上、なかでも内視鏡の進歩が大きく貢献しています。今回はこの胃内視鏡について、苦痛の少ない検査方法など、最近の動向を中心にご紹介させていただきます。

胃内視鏡検査とは

直径約1cmの柔らかい管の先にレンズをつけた内視鏡(ファイバースコープや電子スコープ)で、胃や十二指腸の内部を直接観察する検査です。粘膜の色の変化や微妙な凸凹、ただれを確認できるため、病変を小さなうちに発見することが可能です。また、組織の一部をつまみ取り、顕微鏡でがん細胞の有無などを調べること(生検)もできるので、胃がんの診断にはきわめて有効です。

最近では、内視鏡の先に超音波装置をつけた「超音波内視鏡」もよく使われています。これの検査では、がんの深さや隣接する臓器(胆のうやすい臓)の異常などもとらえることができます。

  • ☆胃透視検査(胃X線検査)でわかること・・・・・バリウムが付着した内壁表面の形状を写し出すので、胃全体の形や病変の大きさ、部位はわかりやすく、またバリウムが流れる様子から胃の運動機能をみることができます。胃壁を這うように広がるタイプの腫瘍の診断にも適しています。

苦痛の少ない検査方法

麻酔下胃内視鏡
方法
喉(のど)の麻酔はどの医療機関でも行っていますが、嘔吐反射が強い方の場合は、例え麻酔を行っていても、管が入る時に吐き気を抑えられず苦しい思いをすることがあります。この苦痛を緩和するため、鎮静剤を使用しウトウトした状態で行う方法です。
欠点
呼吸や血圧の十分な管理下で行う必要があり、年齢的な問題(老人、小児)や、極端に体重が軽い人、持病の有無などにより薬剤が使用できないこともあります。また、鎮静剤が覚めるまで30分〜1時間は病院で休む必要があります。ご検討の際には、医師と十分ご相談下さい。
経鼻内視鏡
方法
鼻から管を入れて行う検査です。口からの内視鏡の直径は、最新式の細いものでも7〜10mmありますが、鼻から入れるタイプの内視鏡は、直径が約6mmとさらに細く、口の奥の舌根部と呼ばれる、嘔吐反射をおこしてしまう部分を通過しないので、楽に受けられると言われています。検査中に医師と会話をすることもできます。
欠点
写真の画質は向上しているものの、やはり通常の内視鏡よりも劣るとの指摘があります。また挿入時の鼻出血などの合併症もあります。鼻腔は解剖学的な個人差もあるので、挿入できる成功率は90%前後です。
カプセル型内視鏡
方法
平成13年に開発された新しい内視鏡検査で、薬のように飲み込むカプセル状のものです。長さはおよそ26mm、直径11mmでカプセル内に観察装置があり、無線によりその情報を読み込むことができるようになっています。画像解析装置を用いて、画像を映し出すことができ動画撮影が可能です。検査が終了した後は、排便により体外に排出され使い捨てです。特に今まで内視鏡では難しいとされていた、小腸の病気の診断に有効とされています。
欠点
消化管に細い部分があると、そこに停滞してしまい排出不能な場合があるので、すべての病気に有効という訳ではありません。また観察するためのもので、組織の採取などはできないため、特に胃に関しては従来の検査の方が優れています。
  • ※現在は、出血源が不明な場合や、小腸の疾患に限って実施している施設もありますが、保険は適用されません。

胃内視鏡でできるおもな治療

  • ●ポリープや粘膜内にとどまっている早期胃がん(転移がなく原則として2cm以下)は、内視鏡の先端から出したワイヤーをひっかけ、高周波電流を流して焼き切ります。隆起していないタイプ(平坦型や陥凹型)の場合には、周囲の粘膜に食塩水を注入し病変部を盛り上げたうえで行います。開腹手術に比べると、体への負担は非常に軽くすみます。治療時間は数十分〜1時間程度で、入院期間は数日間で済み、退院後は食生活などへの制限もありません。
  • ●胃潰瘍などの出血に対して、出血部位を特定し、直接薬剤を塗布したり、高周波による焼灼を行うことで止血処置ができます。

この他、食道静脈瘤の治療、胃ろう(胃への栄養チューブ)造設、誤飲した異物の摘出なども可能です。
医療技術は日々進歩し、より体への負担が少ない検査や治療法が考えられています。ぜひ検診や、異常を感じた際の診察を、ためらわずにお受けになることをお勧めいたします。

◇   ◇   ◇

<参考文献>
消化管内視鏡のABC      医学書院
消化器癌の診断・治療      新興医学出版社
経鼻的胃内視鏡検査の手引き   フジメディカル出版

原稿・社会保険研究所©
※2006年作成
※内容は執筆当時のものであり、現在も同様のものであるとは限りません。

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