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知れば納得!医療情報

高温多湿の季節は水虫に注意

発行:ティーペック株式会社

「これ、水虫かも?」となんとなく気づいていながら、「生命にかかわる病気ではないし、市販薬で大丈夫」とか「病院に行く時間が取れないからとりあえずほうっておこう」などと、医療機関での治療を受けずにそのままにしている人も少なくないのではないでしょうか。  梅雨から夏にかけての高温多湿の時季は、食中毒菌だけではなく水虫の菌も活発に活動しています。皮膚科にかかる患者数も、5月ころから急増し、夏が終わるとともに減少するといわれています。
かつて、水虫は、通気性のよくない革靴を長時間履き続けることの多い男性が主にかかるというイメージが強い病気でした。ところが、近年は、ファッションでブーツを履く若い女性が増加していること、さらに、冬でも暖房が行き届いており水虫が活動しやすい環境が整っていることなどから、女性でも水虫にかかる人が増加傾向にあり、いまや男性がかかるというイメージはなくなりつつあります。
だれでもかかる可能性がある水虫の正体を知り、予防と撃退につなげましょう。

水虫はカビの一種「白癬菌」によって発症する病気

水虫は、カビの一種が足の指と指の間や足の裏などに寄生して起こる病気です。
カビがヒトや動物の体に寄生することによって起こる病気を「真菌症」といい、そのなかでも、皮膚に寄生して起こる病気を「皮膚真菌症」といいます。「真菌」とは医学用語でカビのことです。この皮膚真菌症を引き起こす原因菌には、皮膚糸状菌、カンジダ、癜風(でんぷう)菌、黒色真菌などがあり、水虫は皮膚糸状菌の一種である「白癬(はくせん)菌」というカビによって起こる病気です。

皮膚の角質層が水虫のすみか

白癬菌は30菌種以上に及び、いずれもヒトや動物の皮膚の表皮のいちばん外側の「角質層」や、角質が分化した「毛」や「つめ」などに好んで寄生します。
皮膚の表皮の最下層にある基底層でつくられる新しい細胞は、新陳代謝の働きにより徐々に上層に押し上げられます。細胞内の水分や核、ミトコンドリアなどは、上層に押し上げられるにつれ、しだいに消失していき、最終的に細胞内には「ケラチン」という硬いたんぱく質だけが残り、この硬い細胞がレンガのようにびっしりと層状に重なった状態になります。これが角質層です。角質層の最上層に達した細胞は、最後にはあかとなってはがれ落ちます。
白癬菌は、「ケラチナーゼ」という硬いケラチンを分解することができるたんぱく質分解酵素を分泌します。そして、酵素によって分解したケラチンを栄養源としながら、角質層内部に侵入、増殖していくのです。ヒトの体の角質層の厚さは、大部分は0.01〜0.02mmですが、足の裏だけは数oもあるため、白癬菌の温床になりやすい場所といえます。
ところで、角質層は全身を覆っていますから、白癬菌による皮膚の病気は足だけではなく体中のあらゆる部位に発症します。しかし、それらすべてを水虫と呼ぶわけではありません。たとえば、頭部に発症した場合は「シラクモ」、体部に発症した場合は「タムシ」または「ゼニタムシ」、陰股部に発症した場合は「インキンタムシ」、つめに発症した場合は「つめ水虫」、手に発症した場合は「手水虫」などと呼び、発症する部位によって病名が異なります。一般的には、足に発症したものだけを「水虫」と呼びます。

水虫の主な症状

水虫の症状は、大きく「趾間(しかん)型」「小水疱型」「角化型(角質増殖型)」に分けられます。

●趾間型
水虫の症状の中でいちばん多いタイプです。足の指と指の間がジクジクとしたり、皮膚が白くふやけてむけたり、赤くただれたりします。冬に症状が治まり、夏に再発することがよく見られます。かゆみがあります。

●小水疱型
水虫の症状の中で2番目に多いタイプです。足の裏や側面、指、指と指の間などに、小さな水ぶくれ(水疱)が多数集まってできます。水疱は大きくなることはありません。水疱の周りが赤くなり、はれることがあります。痛みを伴うことがあり、特に水疱のでき始めなどに強いかゆみがあります。

●角化型(角質増殖型)
かかとを中心に足の裏やふちなどの角質が、厚く硬くなりひび割れを起こしてガサガサな状態になったり、あかぎれのようになり、皮がむけたりします。自覚症状が少ないため水虫と気づきにくく、冬の乾燥による肌荒れなどと勘違いしてしまいがちです。50歳以上の人に多く見られます。かゆみはほとんどありません。

高温多湿は水虫にとって最適な環境

水虫は、高温と多湿という条件が整うと活発に活動を始めます。日本の梅雨から夏にかけての蒸し暑さは、水虫にとっては最高の環境といえます。以前に治療した水虫が、再度活動を始めるのもこの時季です。
水虫の予防には、「水虫が活動しにくい環境づくり」と「水虫にかかっている人からの感染防止」が最も重要です。

●少なくとも1日1回は足をせっけんでていねいに洗う
水虫は、たとえ皮膚についてしまってもすぐに感染するわけではありません。皮膚についてから角質層に侵入するまで24時間くらいかけて、ケラチナーゼを出してケラチンを溶かしながらゆっくりと角質の中に侵入していきます。ですから、少なくとも1日1回、足の指と指の間までていねいにせっけんで洗えば、水虫に感染する可能性は低くなります。足を洗ったあとは濡れたままにせず、すぐにしっかりと乾かしましょう。

●足が蒸れた状態を長時間続けない
水虫が最も活発に活動する条件は皮膚の表面温度と湿度が高いことです。このような、水虫が喜ぶような環境を決して与えないようにしましょう。

靴は2〜3足用意し、毎日順番に履き替えるようにしましょう。また、靴はこまめに干して乾燥させましょう。
ブーツの中は高温多湿の環境になりやすいため、菌が大繁殖する可能性があります。ブーツを着用しているときは、こまめに脱いで、できるだけ長時間蒸れた状態を続けないようにしましょう。
職場では、できればサンダルなどの通気性のよい履物に履き替え、足が蒸れた状態を長時間続けないようにしましょう。サンダルなどに履き替えられない場合は、休み時間などに靴を脱ぎ、蒸れた靴や足を乾かすだけでも効果があります。
靴下は通気性のよい素材のものを選び、清潔を保ちましょう。5本指に分かれている靴下などを活用するのもよいでしょう。汗をかきやすい人はこまめに取り換えるのがベストです。
ストッキングも蒸れやすいため、できるだけ長時間身につけないようにしましょう。

●家族内などでの水虫の感染を防ぐ
水虫の患者のうち、半数近くは家族に水虫の人がいるといわれています。水虫に感染している人との足周りの直接および間接の接触を避けるよう工夫しましょう。

浴室の足ふきマットなどは濡れたままにせず、毎日洗って、清潔にしておきましょう。
多くの人が利用する旅館、公衆浴場、ゴルフ場やスポーツジムなどの脱衣所の足ふきマットなどからの感染にも気をつけましょう。
タオルやスリッパ、サンダル、つめ切りなどは共用せず、それぞれ専用のものを用意しましょう。
新陳代謝ではがれ落ちたあかの中に、水虫が侵入している場合、水虫はケラチンをえさに何ヵ月も生き伸びることができるといわれています。床やカーペットはこまめに掃除し、ちり、ほこりなどを取り除きましょう。

●免疫力を高め、良好な健康状態を保つ
細菌などに対する抵抗力が弱まると水虫に感染しやすくなります。十分な睡眠をとる、栄養バランスのとれた食事を規則正しく3食とる、適度な運動を行う、ストレスをできるだけためないなど、健康状態を良好に保つように心がけることも大切です。

◇   ◇   ◇

足に発症する皮膚病のすべてが水虫とは限りません。水虫の症状にたいへんよく似た症状を引き起こすほかの皮膚病も数多くあります。また、水虫とほかの皮膚病が合併しているようなときは、市販の水虫薬を使用することによって悪化させてしまう可能性もあります。水虫の疑いがある症状を見つけたら、決して放置することなく、また、自己判断で市販の薬を使用せずに、必ず皮膚科を受診して検査を受けるようにしましょう。

原稿・社会保険研究所©
※2013年作成
※内容は執筆当時のものであり、現在も同様のものであるとは限りません。

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