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知れば納得!医療情報

増えつづけている乳ガン

監修:順天堂大学医学部付属順天堂医院 小児外科
矢内 俊裕

乳ガンは年々増加傾向にあり、現在は子宮ガンより罹患数・死亡数が多くなっています。昭和35年の約5倍に及び、近い将来、女性の部位別のガンでは胃ガンを抜いて第一位になる勢いです。

今回は、近年の乳ガンの状況についてお知らせいたします。

乳ガンとは

乳ガンは、乳房に発生する悪性の腫瘍です。ある程度大きくなるとしこりとなりますが、しこりとなるまでに約10年を要すると言われています。他に、くぼみやひきつれ、乳房の変形を生じることがあり、乳首より血性の分泌物などがみられることがあります。自分の乳房をみたり触ったりする自己検診法では、このような症状をチェックしましょう。

しこりの大きさが2cm以下で、リンパ節や全身への転移がないものを早期ガンといいます。早期ガンは予後が良いので、この状態でみつけるようにしたいものです。

乳ガンの発見方法

乳房は体の表面にありますので、自分で発見できるチャンスを生かし、毎月定期的に自己検診法を行いましょう。

病院では視・触診の他に、マンモグラフィー、超音波、CT、MRIなどの画像診断で異常があった場合に細胞診、組織診を行います。最近では最先端の検査として、超音波ガイド下穿刺組織診やステレオガイド下穿刺組織診なども行われるようになってきています。超音波は内部構造の鑑別がしやすいようですが、マンモグラフィーは40才以下の乳腺が豊富な方や妊娠中の方には向きません。

治療について

手術は2/3の症例で胸筋保存乳房切除術が、1/3の症例で乳房温存術が行われています。乳房温存術は、乳房を残したまま乳ガンとその周囲のみを取る手術で、しこりの大きさが3cm以下、ガンが周囲に広がっていない、リンパ節の転移がないか軽度にとどまっているなどの方が対象になります。

しかし、すでにガン細胞が広がっている可能性も考え、放射線療法も行われます。化学療法(抗ガン剤)では、いくつかの薬剤を組み合わせたり(多剤併用法)、新しい抗ガン剤のタキサリンなどを用いたりすることもあります。ホルモン療法は、事前にホルモンの依存性を調べ、効果があると思われる方(約6割)が対象になります。

もし、乳ガンと診断されたら

もし、あなたが乳ガンと言われたら、次のことを医師に確認しましょう。

  • 1.しこりの大きさ・数他への転移の有無組織のタイプがよくあるものか、めずらしいものか
  • 2.細胞の核異型度が良いタイプか、悪いタイプかホルモン療法がよく効くタイプか

これらにより治療が大きく変わります。
自分にとってベストと思われる治療を、医師と相談することが大切です。

乳ガンの今後

新しい薬ハーセプチンは、はじめての抗体医薬品として発売が待たれています。「ヒト型抗体」の技術を使ったはじめての抗ガン剤で、正常な細胞を痛めないので副作用が少ないと言われています。この薬は事前の検査で「HER(ヒト表皮増殖因子)2」に反応する方(約3割)のみに有効です。

乳ガンは子宮ガンと異なり、年1回の医療機関での健診を受ければ安心というわけではありません。月1回自己検診法を行った上、年1回は専門医の健診を受けて、乳ガンから自分を守っていきましょう。

◇   ◇   ◇

<参考文献>
「適切な治療を受けるために」 あけぼの会
「今日の治療指針」 医学書院

原稿・社会保険研究所©
※2001年作成
※内容は執筆当時のものであり、現在も同様のものであるとは限りません。

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