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知れば納得!医療情報

顔面けいれん

監修:順天堂大学医学部附属順天堂医院総合診療科
小林 暁子

過労や睡眠不足などが続いているときに、目の周りや顔の一部が、自分の意思と関係なく、ピクピクとけいれんを起こした経験をおもちの方もおられると思います。一過性であることがほとんどですが、なかには自然に治らない、血管の老化が要因の病気である場合もあります。今回はその「顔面けいれん」という病気についてお話させていただきます。

1.原因

顔の神経を動かしているのは顔面神経ですが、脳の奥から出たばかりの根元の部分は、神経を囲うものがなく、外からの刺激を受けやすい状態にあります。そこへ、動脈硬化などにより蛇行した動脈が接触し、その拍動により神経が刺激されてけいれんを引き起こします。

顔面神経は左右対称に走行していますが、動脈硬化などの病変は通常一方に起こるため、症状は顔の片側だけに起こることがほとんどです。(「片側顔面けいれん」とも呼ばれています)動脈硬化が進行しやすい40〜60歳代の方に多く、また理由は明らかではありませんが、女性に多い病気です。睡眠不足や過労などストレスによって誘発されるとも言われています。

2.症状

下まぶたの引きつる感じから始まり、目の周りのピクピクとしたけいれん、頬、額、口、顎へと症状が広がります。重症になるとけいれんが持続し、目や口周囲のけいれんが同時に起こり、顔が歪むことがあります。また、けいれんと同時に耳鳴りが現れることもあります。これは、鼓膜の振動を内耳へ伝える耳小骨という器官の周囲にある筋肉が、顔面神経の支配を受けているため、けいれんの際にその振動が伝わることにより起こります。

  • ※顔面けいれんとよく似た病気に「眼瞼けいれん」があります。これは目の開閉に関わる、目の周囲にある筋肉「眼輪筋」のけいれんにより引き起こされますが、原因は明らかではありません。症状は両側に起こるのが特徴で、目の周りのぴくつきやまぶたの開閉の違和感、また光をまぶしく感じたりします。顔面けいれんのように、他の部位にけいれんが及ぶことはないと言われています。

3.検査と診断

(1)誘発検査口をすぼめたりまばたきなどの動作で、けいれんが誘発されるかを調べます。
(2)CT・MRI血管の蛇行(動脈硬化)の有無や、けいれんを起こす他の病気(脳腫瘍など)がないかを確認します。

4.治療

(1)薬物療法
a. 内服
症状が初期で、けいれんが目の周囲に限られている場合、抗けいれん薬・抗不安薬などの内服治療がありますが、有効性は低く効果的な治療は現時点ではありません。
b. ボツリヌス療法
顔面けいれんを起こしている筋肉に、ボツリヌス菌毒素の製剤を微量注射し、人為的に軽度の麻痺を起こしてけいれんを抑えるものです。90%の人に効果があるとされていますが、その持続期間は3〜4ヶ月ですので、年に3〜4回治療を繰り返す必要があります。副作用の心配はほとんどないようですが、薬の効き過ぎにより一時的に、まぶたが閉じにくくなったり、口角が下がったりすることがあります。
(2)神経ブロック療法
アルコールを顔面神経に注射し、軽度の麻痺をおこしてけいれんを抑えますが、数ヶ月経つと再発することがあります。
(3)手術療法
顔面神経を圧迫している血管を離すことで、神経への刺激を遮断する方法で全身麻酔下で行います。根治的な治療法で有効率は高いですが、手術後の後遺症で聴力低下が起こることがあります。これは、顔面神経と聴神経が接しやすい位置関係にあるために、血管と顔面神経を離す際に聴神経に触れてしまうことで起こります。

5.日常生活の注意点

ストレスは、病気の引きがねになるだけでなく、症状を悪化させることもあります。ストレス解消と動脈硬化予防のために、十分な睡眠、気分転換、適度な運動やバランスのよい食生活を心がけましょう。また、持続する不快な症状は、外出や人に会うことさえ億劫にさせてしまい、生活の質を落とします。なるべく早く専門医(神経内科や脳神経外科)を受診することをおすすめします。

◇   ◇   ◇

<参考文献>
ペインクリニック療法の実際      南江堂
標準脳神経外科学           医学書院
NHKきょうの健康2001年9月号       NHK出版

原稿・社会保険研究所©
※2004年作成
※内容は執筆当時のものであり、現在も同様のものであるとは限りません。

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