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知れば納得!医療情報

アディクション(嗜癖)

監修:悠ネットワーク
代表 大澤 昇

アディクションという言葉は聞きなれない言葉ですが、わかりやすい言葉で表すと“のめりこむ”“はまる”ということです。もともとは習慣的であった行動が、自分の意志でコントロールできなくなる、ブレーキが利かなくなるという状態をさします。
例をあげると、最近はインターネットの普及でPCの前から離れられない、睡眠時間を削ってまでのめりこんでしまい体調を崩し、学校や会社に行けなくなってしまい、引きこもりや退職に至るケースがあります。また、バーチャルリアリティの世界から抜けられなくなったり、ネット上での人とのつながりから抜けられなくなったりするケースもあります。
このように「害があるのにやめられない」「(良くないことと)わかっているのにやめられない」といった、多くは不健康な習慣へののめりこみをアディクション(嗜癖)といいます。

1.アディクションの種類

(1)物質アディクション
気分を変えてくれる物質へののめりこみです。お酒やタバコ、薬物を摂ることによって気分を変えたり、過食も“やけ食い”という言葉があるように食べ物が気分を変える物質となります。
お酒(アルコール) タバコ(ニコチン) 薬物 処方薬 食べ物
(2)プロセスアディクション
ギャンブル、仕事、ショッピング、スポーツ観戦など高揚感を与えてくれる一連の行動へののめりこみです。ギャンブルで大当たりしたとき、仕事に打ち込み成功したとき、高級ブランド品を次々と購入しているときの周囲の羨望のまなざしや、賞賛と達成感などです。これらの高揚感は薬物など比較にならないくらい自分を変える効果があるという人もいます。
ギャンブル 仕事 ショッピング 借金 リストカッティング
暴力 盗み スポーツ観戦 インターネット 電話 テレビゲーム
ストーキング 強迫的なダイエット 掃除 嘘 運動
(3)人間関係アディクション
人間関係ののめりこみをいいます。互いに傷つけあいながらも離れられなかったり、相手を自分の思い通りに行動させようと必死になったり、自分を犠牲にして誰かのために奔走したりするなどです。例えば、配偶者への度を越した世話やきや行動の束縛、子供へのしがみつき、憧れの人へのしがみつきなどがあります。場合によっては配偶者や子供への暴力や虐待につながることもあります。
人間関係(共依存) 恋愛 セックス

2.アディクションの背景

害のあるものにのめりこんだり、害のある行動を繰り返してしまう背景には、自分で自分を癒そうとする「自己治療」があります。酔いの世界にひたることによって、人は自分が抱えているつらさから逃れ、心の痛みを麻痺させることができます。何かに夢中になることで空しさや孤独を埋めることもできます。次第にこの「自己治療」にはまっていき、コントロールがきかなくなります。一つのアディクションから別のアディクションへと移ったり、同時に二つ以上のアディクションを抱えてしまうこともあります。

3.アディクションの特徴

(1)インスタントな高揚を求める
(2)対象にのめりこむことで気分が大きく変化する
(3)習慣化し、固定化していく
(4)徐々にエスカレートして進行し、放っておけば崩壊に至る
(5) 意志のコントロールがきかない
(6)それなしでは自分が保てないように感じる
(7)不利な結果が出ていても、やめられない
(8)どんな犠牲を払っても、続けようとする
(9)自分の問題を否認する
(10)家族などの周囲の人が、その問題に振り回されて、困ったり悩んだりすることが多い
(11)何とか問題を解決しようとする周囲の努力が逆効果になることが多く、更にアディクションを進行させる悪循環が生じる

4.アディクションの治療

アディクションは、自分の意志でコントロールがつかない状態ですから、自分の力だけでは問題解決は難しいです。しかし、専門の治療・援助や仲間の力を借りて治すことは出来ます。

(1)専門の治療:心療内科・精神科などの医療機関に通院や入院することで、診断・治療が出来ます。医療機関によっては専門の相談窓口を設けているところがあります。他には、臨床心理士などがカウンセリングを提供しているカウンセリングルームなどがあります。
(2)自助グループ:同じ悩みや問題を抱えた仲間同士で支えあいながら回復を進めていきます。「悩んでいたのは私一人ではないんだ」という気づきや、仲間の体験などからヒントを得られたり、共感や支えを得られたりすることは、アディクションを乗り越える大きな力になります。
(3)精神保健福祉センター:各都道府県と政令指定都市に置かれている公的機関で、心の健康に関する知識の普及・調査研究・相談・地域支援のほか、保健所などの行政機関に対して指導・研修を行っています。ほとんどが電話や面接相談を実施しており、家族や当事者を対象にしたグループカウンセリングを行っているところもあります。最寄りの保健所や保健センターでも心の問題について援助を行っています。
(4)その他:電話相談・インターネット・リハビリ施設・更生施設・救護施設・シェルターなど

◇   ◇   ◇

<参考文献>
アディクション ASK
こころの健康百科 弘文堂

原稿・社会保険研究所©
※2005年作成
※内容は執筆当時のものであり、現在も同様のものであるとは限りません。

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