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知れば納得!医療情報

正しいケアでむし歯予防

発行:ティーペック株式会社

近年、日本人のむし歯予防に対する意識はかなり高くなってきています。ところが、むし歯や歯肉炎・歯周病などで歯科にかかる人の数は、以前と比べあまり変化がないようです。「きちんと毎日歯磨きしているのにむし歯ができちゃった」という経験のある人も大勢いらっしゃるのではないでしょうか?
正しい歯のケアを知り、むし歯や歯周病をしっかり予防しましょう。

むし歯予防の基本はプラークコントロール

プラークとは歯垢ともいわれ、むし歯予防を語るうえでは欠かせないキーワード。プラークは、食べ物の食べかすではなく、さまざまな種類の細菌の塊です。白っぽく粘りがあり、歯の表面にしっかり付着して、口をすすぐだけでは取り除くことができません。プラーク1g中には1兆〜3兆個もの細菌が共存し合っていて、むし歯や歯周病の原因となります。プラークをしっかり取り除いておかないと唾液の成分によって石灰化を起こし、歯石になってしまいます。
プラークは、歯の表面の条件によっては2〜3時間で形成されることがあります。しかし、プラークができたからといってすぐにむし歯になるわけではなく、プラークが歯にダメージを与え始めるのは、プラークが形成されてから約24時間ほどといわれています。
むし歯の原因菌は、ミュータンス菌という細菌です。ミュータンス菌は、食べ物に含まれる糖質を分解・発酵し、プラークの内部で酸をつくります。この酸によって、歯の表面のエナメル質が溶け、エナメル質の内部にあるカルシウムやリンが溶け出し始めるのです。これを脱灰といいます。プラークがきちんと除去できず、付着したままの状態が24時間以上続くと脱灰が徐々に進み、やがてエナメル質の内部はスカスカの状態になり、白く濁ったり、薄い茶色になっていきます。このように、歯に穴はまだできてはいないものの脱灰が進んでいる状態を「初期むし歯」といい、痛みなどの自覚症状はありません。
初期むし歯であれば、「再石灰化」によって健康な歯に戻すことができます。再石灰化とは、唾液に含まれるカルシウムやリンが再び歯に戻ることです。
初期むし歯がさらに進行すると、象牙質、歯髄(神経)まで侵されていきます。象牙質はエナメル質よりも弱く、ここからむし歯はどんどん進行します。
一方、歯を失う原因となる歯周病は、歯垢が石灰化した歯石が原因で起こります。歯石が歯肉を刺激し、炎症が進むと歯槽骨も溶かしてしまうのです。
むし歯や歯周病の予防の基本は、プラークをしっかり除去すること(これをプラークコントロールといいます)なのです。

プラークコントロール ・ブラッシング

ブラッシング
確実にプラークを取り除くために最も有効なのがブラッシングです。
ブラッシングに使う歯ブラシは、ヘッド(毛が生えている部分)が小さめで、グリップは太めでストレートなものがよいといわれていますが、自分が使いやすいものを選ぶのがよいでしょう。歯ブラシは、鉛筆を持つように、親指と人差し指、中指で持つ持ち方が基本ですが、磨く場所によっては、磨きやすいように持ち方を工夫して磨きましょう。
ゴシゴシと音がするぐらい力を入れてブラッシングする必要はありません。力を入れすぎるとブラシの毛の部分が曲がってしまい、毛先が歯に垂直に当たらずプラークが思うように取れないうえに、歯茎を傷めてしまうことにもなりかねず、むしろ逆効果となってしまいます。歯ブラシのグリップはぎゅっと握らず、軽く持って、やさしく磨きましょう。
特に、プラークが最も付きやすく、また磨き残しの多い部分は、(1)歯と歯茎の境目、(2)歯と歯の間、(3)奥歯のかみ合わせ面の溝、(4)歯の側面のくぼみ、(5)前歯の裏側、(6)奥歯の裏側、(7)差し歯の継ぎ目や、つめたりかぶせたりした部分の周りです。意識してていねいに磨きましょう。
慣れるまでは、できれば鏡を見ながら、磨くことをお勧めします。
デンタルフロス
ブラッシングだけでは取り除きにくい歯と歯の間の汚れを取るには、デンタルフロスを使ったフロッシングが効果的です。フロッシングは歯と歯の間に細い糸を入れてスライドさせながら上下するので、歯茎を傷めないように注意しましょう。糸の細いもの、太いもの、ワックスを塗ったもの、柄のついたものなど、さまざまなタイプがあります。歯科医や歯科衛生士に使い方を教わってから使えば安心です。
歯間ブラシ
歯間ブラシにはさまざまなサイズがあります。歯間ブラシが大きすぎる場合、歯茎を傷めることもあります。それぞれの歯のすき間に合ったサイズを選びましょう。
歯垢染色剤
ブラッシングによってプラークが取り除けているかどうかを確認するために使います。残ったプラークが赤く染まるため、自分の目で確認できます。「ていねいに磨いているから、プラークコントロールは完璧!」と思っている人でも、人それぞれ磨き方のくせがあるため、意外といつも同じところが磨けていないことが見つかる可能性があります。ブラッシングによってきちんとプラークを取り除けているのかを確認したり、自分の磨き方の癖を知ったり、どう磨けばプラークを取り除くことができるのかを工夫しながら磨くのに役立ちます。
デンタルミラー
歯の裏側など、ふつうの鏡などでも見にくいところを確認するために使います。
歯磨き剤 歯磨き剤を使用しなくてもプラークは取り除くことができます。しかし、フッ素が配合されているものは、歯の表面を保護する、歯にプラークをつきにくくする、などむし歯の発生や進行を予防する効果が認められています。
また、歯磨き剤の香りによって磨いたという実感を得ることができたりしますから、その用途にあったものを選ぶとよいでしょう。ただし、爽快感のある香りをもつ歯磨き剤は、その香りだけで磨けているような錯覚に陥ることもありますから、注意しましょう。

◇   ◇   ◇

大のおとなでも泣きたくなるほど、歯の痛みは耐えがたいものです。誰かの呪い? いえいえ、痛みの原因は誰のせいでもなく自分自身。
いつまでも、自分の歯で食べ物がおいしく食べられるよう、正しいプラークコントロールの習慣を身につけ、日ごろの食生活習慣にも気を配りましょう。そして、できれば定期的に歯科医にチェックしてもらいましょう。

<参考文献>
『ブラッシングで元気な歯をつくる』(監修/医療法人尚歯会 いさはい歯科医院・理事長 砂盃 清、制作/且ミ会保険研究所)

原稿・社会保険研究所©
※2011年作成
※内容は執筆当時のものであり、現在も同様のものであるとは限りません。

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