マネーコラム

Vol.18

高額療養費が激変!?
特に高所得層は医療保障の点検を!

2015.07.01

高額療養費が激変!?特に高所得層は医療保障の点検を!

2015年1月、高額療養費制度が大きく変わったことをご存じでしょうか。自己負担限度額が所得に応じて3区分だったものが、5区分に変わりました。細分化されたことで特に大きな影響があったのは、実は高所得層の方です。

今回は、Vol.10「医療費はどのくらいかかるのか(1)」で解説されている高額療養費制度の変更点について整理します。

<高額療養費ってどんなもの?>
入院が長引いたりして医療費がかさめば家計への大きな負担になります。
そんなとき、医療費の負担を軽減してくれるとてもありがたいしくみが「高額療養費制度」です。

具体的には、1ヵ月間(1日から末日まで)に同じ医療機関で診療を受け、自己負担限度額を超えた場合に、その超えた分を軽減してもらえます。同じ公的医療保険に加入している家族が治療を受けたり、1人が複数の病院で治療を受けた際には、それぞれ算出された同月の自己負担が21,000円以上となった分を合算して上限額を超えたときも対象となります。過去1年に3回、高額療養費の支給を受けた人は4回目以降は「多数該当」となり上限額が下がります。

現在、70歳以上の方は病院窓口で精算後の金額を負担すれば済みます。70歳未満の方でも、事前に健保組合などから「限度額適用認定証」を受け取って病院に提示すれば、高額療養費精算後の自己負担分で済みます。

高額療養費制度の対象になるのはあくまでも公的医療保険が適用される医療費分で、次のような費用は対象になりません。
・入院中の食事代(1食260円)
 *難病等を除き2016年度から360円、2018年度から460円に上がります
・差額ベッド代
・国が認めた医療機関で受ける「先進医療」の技術料

また、正常分娩、労災事故など公的医療保険が適用されないものは高額療養費の対象になりません。他にも、国内未承認の治療法や薬剤等で保険適用外の診療をした場合は、医療費が全額自己負担になり高額療養費の適用もなくなります。

<どう変わった?高額療養費>
さて、2015年1月、70歳未満の高額療養費の上限額が変わりました。所得に応じて3区分だったものが5区分になりました(表)。「給与等が81万円以上」の上位所得者@と「給与等が27万円未満」の一般所得者Aが新たに加わったほか、上位所得者は負担が増えました。

実際の上限額は、一般所得者@の例で<80,100円+(総医療費−267,000円)×1%>を超えた分が軽減されます。総医療費が100万円かかった場合で試算すると、<80,100円+733,000円×1%>=87,430円。これが1ヵ月の自己負担の上限額です。

同じく総医療費が100万円かかった場合で試算すると、所得の高い順に、254,180円、171,820円、87,430円、57,600円、35,400円となります。新設された一般所得者Aはむしろ軽減されましたが、一般所得者@を基準にすると、上位所得者@は約3倍、上位所得者Aは約2倍の負担。所得に応じた医療費負担の格差が生じています。

表 70歳未満の医療費限度額

<医療保障の点検を>
上位所得者@の医療費の上限は、100万円の医療費がかかった場合で254,180円でした。これを30日間入院してかかった費用と想定するなら、30日で割ると1日約8,500円。15日間と想定するなら1日約17,000円になります。これに入院時食事療養費(2016年度から360円、2018年度から460円に上がります)のほか、個室に入る予定の方なら差額ベッド代をプラスして日額の目安を考える必要があります。自営業の人は入院中の収入減を補うため日額を多めに見込むケースもあります。

入院・手術時などの経済的リスクに備えるのが医療保障(医療保険や医療特約)ですが、今回、高額療養費制度の変更で負担増になった上位所得者と一般所得者が同じ保障額でよいとは思えません。もしも自分や家族が入院したときの経済的リスクはどの程度か、実は大きな保障不足に陥っていないか、医療用の予備費も用意されているかなど、あなたの家庭の医療保障を確認してみましょう。所得区分に関係なく、この機に医療保障を再点検するといいですね。

ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓