マネーコラム

Vol.21

ある日突然やってくるかもしれない!?
「親の入院・介護」にどう備える?<後編>
〜介護離職10万人時代に「辞めない」介護を考える〜

2015.10.01

高額療養費が激変!?特に高所得層は医療保障の点検を!

前回に引き続き、今回も40〜50代が抱える「親の入院・介護」というリスクについてです。今回は、仕事を「辞めない」介護について考えます。

■介護の3割は40代・50代が担っている
「要介護者」の発生率は、加齢とともに増化します。5歳刻みで見ると、65〜69歳は2.9%ですが、70〜74歳で6.2%、75〜79歳で14%、80〜84歳で29.6%と倍々に増えていきます。85歳以上では59.6%と、2人に1人強が要介護状態になります。親が70代になったら、介護は常に意識すべきリスクといえます。

さて、この介護は誰が担っているのでしょうか。
厚生労働省「国民生活基礎調査の概況(平成25年)」によると、介護を担っているのは、多い順に、同居の配偶者(26.2%)>同居の子(21.8%)>介護事業者(14.8%)>同居の子の配偶者(11.2%)>別居の家族等(9.6%)となっています。

また、同データによると、同居をして介護を担っているのは女性が7割弱で、男性による介護も3割強と増えています。介護者の年代では、60代が最も多く31.0%、次が70代で24.8%。80歳以上の介護者も12.9%いて、「老々介護」の様子がうかがえます。「現役世代」と考えられる50代は21.4%で、40代の8.0%と合わせると約3割を占めます。

要介護者の発生率

■介護離職10万人時代
総務省「平成24年度就業構造基本調査」によると、親や配偶者の介護や看護を理由とした離職・転職者数は、平成23年10月から24年9月の1年間で10万1,100と初めて10万人を超えました。うち2割は男性です。

40代、50代の働き盛りの世代が、ある日突然、親の介護などで離職・転職してしまう。家族にとって、人生設計が根底から覆る大問題です。特に、辞めて全面的に介護生活に入ることは、未来の生活まで見えなくなります。

厚生労働省「仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査(平成24年)」によると、介護で仕事を辞めた場合、「精神面の負担が増した」と回答したのは、男性63.5%、女性66.6%でした。「経済面の負担が増した」と答えたのは、男性71.6%、女性73.1%と、男女ともに精神面の負担を上回ります。

40代、50代の介護離職は、自分の老後資金形成の時期とも重なり、支える側には大きな負担です。介護が必要なくなった時すんなり仕事が見つかるとは限りません。「辞めない」介護を目指すか、介護と両立しやすい仕事に転職をするなど、ブランクを作らないことが大事です。

■「辞めない」介護を実現するには?
働きながら介護をするには、まず制度を最大限に活用したいもの。介護に関する制度には「介護休業」と「介護休暇」があります。

<介護休業>

育児・介護休業法に基づき、介護(2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態)が必要になった家族1人につき通算で93日間まで、会社を休むことができます。対象になる「家族」は、配偶者、父母、子、配偶者の父母や、同居で扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫。介護休業中、会社から給与が出ないか20%超カットされた場合は、「介護休業給付金」も支払われます。

手続きは、休業開始予定日と終了予定日を書面等で職場に申し出る必要があります。原則、2週間前までに行います。

介護休業給付金

・給与が40%以下支給される:賃金の40%相当額
・給与が40%超80%未満:賃金の80%相当額と賃金との差額
・給与が80%以上支給される:支給されない

<介護休暇>

要介護状態にある家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日を上限として介護休暇を取得できます。介護サービスを利用するための手続きや、急な入院・介護などに利用できます。

また、「辞めない」介護を実現するには、介護を「プロジェクト」と見て、自分がリーダーとなってまとめていくことも大事です。地域包括ケアセンターのケアマネジャー、かかりつけの医師、看護師、介護事業者などの関係者や、近所のお巡りさん、ご近所の方、近くに住む親戚、家族・友人などとうまく交流を図りつつ、協力体制を築いていきたいもの。

なお、40代、50代は、自分や配偶者が要介護状態になるリスクがあることも自覚しましょう。公的介護保険は所定の病気を除き65歳未満は対象外ですので、民間の介護保険などで備えるのも有効です。専用口座を作って、「医療・介護予備費」を備えるのも一法です。

ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓