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マネーコラム

Vol.22

介護をしてくれた人に財産を残す方法は?

2015.11.01

今回は、自分の介護を担ってくれた人に財産を残す方法について考えます。まわりから評価されにくい介護ですが、支える側の労力は小さくはありません。その労力に報いる方法を整理してみましょう。

■介護を担う家族に財産を残したいとき

将来、自分の介護をしてくれる人にはそれなりのことをしてあげたい。あるいはすでに今、身の回りの世話をしてくれている人に、何かの形で報いたい。そう願う人は少なくないでしょう。

介護を担っているのが法定相続人であれば、残ったお金を相続の形で受け取れますが、同じ相続人の中で介護を多く担った人により多く財産を渡したいと思うでしょう。子が親を介護するのは「当然のこと」とされ、介護は民法の「寄与分」*として認められにくいようです。しかし、介護は担い手からすれば大変なことですので、介護を担った家族に少しでも多く残せるよう、何か手を打っておきたいもの。

  • *亡くなった人の財産形成に貢献した場合、法定相続分以外に別枠の取り分を認めた民法の規定。

また、介護を担うのが法定相続人とは限りません。子の配偶者や兄弟姉妹、姪や甥などだった場合は、相続する権利もありません(注:子どもがいないおひとり様の場合は、兄弟姉妹が相続人になる場合もあります)。どうやって報いるかを考えなくてはいけません。

いずれの場合でも、介護をしてくれる人の労に報いるように財産を残すには、事前に手を打っておく必要があります。離職してまでみてくれた人には、特に配慮したいもの。ただし、後々モメることがないよう、他の相続人の理解を得ておくことも大事です。

介護をしてくれた人に財産を残すための方法として、いくつか挙げられます。

表1 遺言書の種類

■生前贈与をする

介護を担う家族に生前贈与をするのも手です。贈与は法定相続人以外にもできますし、もらった側が年間110万円以内の、贈与税の基礎控除の範囲であれば非課税です。この贈与を受けたのが法定相続人で、特別受益の持ち戻しの対象にしたくない場合は、遺言書に「*特別受益の持ち戻しを免除する」旨の記載をしておく必要があります。

  • *相続人の誰かが特別になんらかの益を受けていた場合に相続人の間の公平性を保つために、その特別な受益分を加味して相続分の計算を行うこと

■生命保険の受取人に指定する

介護をしてくれる人を生命保険(終身保険)の受取人にする方法もあります。生命保険は受取人固有の財産となるため、明確に特定の人に渡すことができます。

既に加入している終身保険等がある場合は、保険金受取人が誰になっているか、確認しておくことも大切です。また、生前贈与と生命保険の受取人指定を組み合わせた対策も効果的であるといえます。

■遺言書を書く

介護を担った相続人にほかの相続人より多めに財産を残したい場合や、法定相続人以外に財産をあげたい場合に、遺言書は必須です。前述の法定相続人への生前贈与に関して、「特別受益の持ち戻しを免除する」ことも明記しておきましょう。

遺産分割が兄弟姉妹の中で偏っているときや、特別受益の持ち戻しを免除した場合などは、なぜそのような相続をするのか、遺言書の「付言」でしっかりと書いておくことも大事です。付言は、法的な効果のないコメント欄のようなものですが、遺族への思いやメッセージなども残すことができ、それによってモメるのを抑えることもできるでしょう。

■養子にする方法も

子どもの配偶者や孫など法定相続人以外が介護の担い手の場合は、養子(普通養子)にするという方法もあります。養子になれば、法定相続人になるため、遺言書がなくても相続する権利を持ちます。民法上、養子の数に制限はありません。

ちなみに、相続財産が多い方の場合、養子が増えれば相続税の基礎控除額が増えるため、節税効果もあります。ただし、税法上認められる養子の数は、実子がいる人で1人、実子がいない人で2人までです。

■最後に……介護資金の準備もしておきましょう

以上、介護をしてくれる人に報いる方法を見てきましたが、資金面で負担をかけないことも大前提としてあります。自分の介護が必要になったときに使ってもらう口座や介護保険、終身保険などは、わかるように用意をしておきたいものです。

また、意思能力を失ったときに誰に後見人を頼みたいかなども事前に決めておくといいでしょう。第3者に頼みたい場合は、任意後見制度を活用して契約しておくといいでしょう。

なお、介護を担う立場で関わる場合の注意点として、親等が意思能力を失う前でも、介護で使った分の領収書類はすべて保管しておきましょう。「本当に介護で使ったのか」などと後で疑われるトラブルを避けるためです。

表2 介護を担ってくれた人に財産を残す方法(まとめ)

ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓

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