マネーコラム

Vol.30

4月からスタートした
「患者申出療養」について知ろう!

2016.07.01

2016年4月から、「患者申出療養」が始まりました。
あまり聞きなれない制度ですが、私たちの医療を考える際に、選択肢を広げることができます。どのようなものなのか、整理しておきましょう。

■「患者申出療養」とはどんなもの?
「患者申出療養」という言葉を聞いたことはありますか? 
2016年4月に導入されたもので、厚生労働省の言葉を借りると、「困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者の申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするもの」だそうです。

もう少し説明すると、難しい病気と闘っている患者が、国内で保険適用外の先進的な治療法や投薬を、医師から勧められたり、自分で調べたりして、受けたいと考えたとします。日本では、公的健康保険が適用する治療法であれば3割等の自己負担で治療を受けることができますが、保険適用外だと10割負担になります。
しかも、保険適用外の診療を受けた時点から、保険適用の診療分も含めてすべて10割負担になってしまうのです。保険適用診療と保険適用外診療を併用する「混合診療」は原則禁止されているためです。

ですが例外的に、保険適用ではないものの、将来的に保険適用になることを目指している先進的な医療等については、「保険外併用療養費制度」として保険診療との併用が認められています。
この「保険外併用療養費制度」の1つに「患者申出療養」が加わったというわけです(図表1)。

保険診療との併用が認められている療養

「患者申出療養」を申請し、国が安全性・有効性等を確認するなどして認められた場合は、その治療や投薬自体は自己負担10割であっても、入院費やほかの保険適用部分は3割で受けられるということで、患者の負担が軽くなり(図表2)、費用面で諦めていた治療でも受けられる人が増えそうです。

患者申出療養ビフォア&アフター

■患者申出療養の流れ
患者申出療養の申請を行う例として、厚生労働省のサイトには次のような例が挙げられています。
・治験、先進医療、患者申出療養のいずれも実施していない医療を実施してほしい場合
・先進医療で実施しているが、実施できる患者の基準に外れてしまった場合
・先進医療で実施しているが、自分の身近な保険医療機関で行われていない場合
・すでに実施されている患者申出療養が自分の身近な保険医療機関で行われていない場合
など

こうしたケースに該当する場合などに患者申出療養を申請するわけですが、患者がまず行うべきは、かかりつけ医師などに相談し、希望する治療法についてよく相談することです。

相談を受けた医師が大学病院等と連携して対応する流れになっています。
保険適用外の治療法がその患者に本当に適しているのか、既存の患者申出療養や先進医療、治験に該当しないか、治療計画を立てるために十分な情報(科学的根拠)があるか、などについて情報収集を行います。
治験や先進医療の対象であれば、それらを利用し、いずれにも該当しなかった場合に申請を行うことになります。

新しい医療の場合は、申請から原則6週間で審査が終わり、対象になるかどうか判断が出ます。一方、すでに患者申出療養として実績がある治療法や薬品などの場合は、患者の近くの医療機関で実施できるかどうか、原則2週間以内に結論が出されます。

患者申出療養の流れ

■患者申出療養は高負担!?
患者申出療養の導入は、患者にとっては、受けられる治用法や薬品の範囲が広がってよい制度といえるでしょう。すべてが自由診療にならずにすむことはメリットです。

しかし、問題はやはり自由診療となる部分の費用です。
未承認薬などの中には100万円を超えるようなものもあり、中には週100万円のものもあります。
入院費などが3割に押さえられたとしても、治療法や投薬によっては、100万円単位の医療費を負担しなくてはならないのです。

治療の選択肢を増やすには経済的な備えが大切です。自分が加入している保険をちゃんと把握し、必要に応じて見直す姿勢が大切です。

ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓