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マネーコラム

Vol.40

増える医療の自己負担。
今度は高齢者の「高額療養費制度」が変更に!

2017.05.01

2015年には現役世代の「高額療養費制度」が変更になりましたが、次は2017年、2018年と高齢期の負担増につながる変更が始まります。所得が高い人は高齢であっても医療費の負担が増えることを知っておきましょう。

■高額療養費制度とは?

「高額療養費制度」をご存知でしょうか?
保険適用となる医療を受けたとき、1ヶ月の間に医療機関の窓口で支払った額が定められた上限額を超えたときに、超えた分を支給してくれる制度が「高額療養費制度」です。大きな手術を受けたときや入院が長引いたときなど、たとえ自己負担が1~3割であっても、医療費負担は重く家計にのしかかります。
これを軽減してくれる、生活者にとって非常に助けになる制度といえます。

例えば、69歳未満で年収約370万~約770万円の人が、5月に入院し、総医療費が100万円だったとします(健康保険対象の治療)。
窓口で自己負担3割分の30万円の医療費を支払いました。この年収層の1ヶ月の自己負担上限額は、<80,100円+(総医療費-267,000円)×1%>ですので、<80,100円+733,000円×1%>=87,430円。
30万円を支払っているため、差額の212,570円が高額療養費として戻ってきます。

ただし、差額ベッド代や入院中の食事代である360円は対象になりません。ちなみに2018年度から1食460円にアップすることが決まっています。

表1 高額療養費制度で自己負担が軽減される

■2015年から現役高所得層が負担増に

生活者にとって助かる高額療養費制度ですが、実は今、負担増へと向かっています。
超高齢社会が進むにつれて、医療費の公費負担は右肩上がりに増加しています(2014年は15.9兆円)。これを少しでも削減するために、2015年より医療保険制度改革が行われ、その1つとして、現役世代(70歳未満)の高額療養費の自己負担限度額が、所得により3区分⇒5区分に細分化されました。特に高所得層の負担が増加しています。

すでに変更された現役世代の高額療養費制度については、
過去コラム「高額療養費が激変!?特に高所得層は医療保障の点検を!」で整理しましたので、ご参照ください。(高額療養費制度についてはこちら)

■2017年7月以降の70歳以上の高額療養費

2017年、2018年には、70歳以上の高齢者に対する医療費負担増の波が控えています。まずは、2017年8月の第1弾の変更ですが、従前と変わるところに色を付けてあります(表2)。

表2 2017年8月に70歳以上の高額療養費の限度額はこう変わる

現在の枠組みは変わらないものの、「現役並み」と「一般」の限度額が引き上げられます。70歳以上の高額療養費制度には、通院のみ(個人)でも1ヶ月に一定以上になると高額療養費が受けられる仕組みがあり、この部分が引き上げられるほか、「一般」の入院・通院(世帯)の限度額も引き上げられます。

一方で、「一般」の通院のみの限度額には年間上限額が設けられるほか、入院・通院の上限額にはこれまでなかった「多数回該当」が設けられました。
この仕組みがあると、過去12ヶ月に3回以上高額療養費の支給を受けた場合に4回目以降の限度額が軽減されます。

■2018年7月以降は高齢高所得層の負担増へ

2018年7月の第2弾の変更が表3です。2017年7月から見てさらに変更になる部分に色を付けてあります。

表3 2018年8月に70歳以上の高額療養費の限度額はこう変わる

70歳以上の方で「現役並み」所得区分は3段階に分けられ、限度額もアップします。しかも通院のみの上限額もなくなります。実はこの限度額は70歳未満のものと全く同じです。「一般」については、通院のみの限度額が引き上げられます。

■高齢期の医療保障はどうする?

高額療養費だけでなく、2017年からは75歳以上の保険料軽減特例が段階的に廃止され、保険料の負担も増えていきます。高齢期の高額療養費についてもさらに限度額が上がらないと約束されているわけではなく、さらなる負担増の可能性もないとは限りません。

公的な医療保障が縮小する中、自分自身の医療保障をどう考えてどう備えるか、この辺りで真剣に再考する必要があるようです。老後資金不足を「生涯現役」で補う予定の人は、医療費も現役と同じくかかることを頭に置かなくてはいけないようです。

貯蓄か保険か、あるいは両方か。どうやって高齢期の医療に備えるか。終身型の医療保障ニーズが高まるのは当然ですが、保障額なども再点検する必要がありそうです。

ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓

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